暑(熱)いね

昨日でインド学生のほとんどが出て行ってしまいました。誰が残っているか男子寮に見に行きました。すると、ヴィノードくんがいて、荷造[にづく]りをしていました。彼は今日出て行きます。荷物がいっぱいあって大変そうなので、お手伝いすることにしました。

彼はわたしと同じ英語クラスの学生でした。南インド出身で、母語はヒンディーではありません。非常に人[ひと]なつっこい性格です。

わたしが今回参加している「9ヶ月コース」以外にもこの大学にはいくつかのコースがあります。ヴィノードくんは「6週間コース」に以前参加しています(わたしも一年前に参加しました。彼は2年前の受講生[じゅこうせい])。彼が受講したときの同級生にヨーロッパ(の隅[すみ]っこの方[ほう])出身の女子学生がいました。そして、彼女も今回「9ヶ月コース」に参加しています。

ヴィノードくんと初めて会話したとき、彼はわたしにメモを手渡[てわた]しました。というか、わたしにメモを手渡すために声をかけてきました。「(ヨーロッパからの女子学生に)これを渡してくれ」って。面倒くさいなぁ。どうやら彼女と仲良くしたかったようです。その後、二人が一緒にいるのをよく見かけました。

荷物がまとまり、リキシャで駅まで向かう準備ができましたが、ヴィノードくんがなぜかいつも以上に「そわそわ」しています。訳[わけ]を聞いてみると、「彼女と一緒に行く約束をしていたのに、来ない」そうです。「学生生活の最後の教訓[きょうくん]だね。女の子は何を考えているか理解できないときがある」と言って一緒に大笑いしました。


男子寮[だんしりょう]の前にいるヴィノードくん 例の女子学生とお話中[はなしちゅう]?

彼女のことは諦[あきら]めて、駅に向かいました。駅に着いて、リキシャの料金を精算[せいさん]するとき、ちょっと「いたずら」したい気分になり、わたしが払うふりをしました。そしたら、ヴィノードくんが「いやいや、絶対に払って貰[もら]うわけにはいかない」とお金を突[つ]き返しました。「レジ前[まえ]のおばちゃん」ごっこ(笑)。昨日はネギさんと駅で「レジ前のおばちゃん」ごっこをしました。

インドの人たちもきっちりしているところはきっちりしています。当[あ]たり前[まえ]だけど、インドの人たちにはインドの人たちの常識があります。ただ、問題は何が常識かがインド社会の外[そと]の人間にはよくわからないことです(笑)。

ホームに来てみると、電車が到着[とうちゃく]するまでしばらく時間があることがわかったので、駅の売店[ばいてん]で餞別[せんべつ]にビスケットと冷たいフルーツミルクを買って、ヴィノードくんに渡しました*1。フルーツミルクは瓶入[びんい]りの飲み物です。いまのような暑い季節に飲むとおいしいです。栓を開けるのに栓抜[せんぬ]きが必要ですが、でもここはインド! 先日、インドの人たちはみんな自分の栓抜きを持っていることを学習したばかりです。だから、ヴィノードくんに栓をしたままの状態で渡しました。そしたら、「あれ、栓が開[あ]いてない。オレはそんなに歯が強くないから開けられないんだよ。」だって。インドは多様性[たようせい]の国です。

電車は発車予定時刻になっても現れませんでした。毎度のことですけど。ヴィノードくんは駅についてからも落ち着かない様子です。ずっとうろうろしています。しばらくすると、突然[とつぜん]彼の表情が「満面[まんめん]の笑[え]み」に変わりました。笑顔の先を見ると、件[くだん]の女子学生。はいはい、ごちそうさまです(苦笑)。

あんまり興味ないけど、電車が来るまで時間があったので、女子学生に話を聞いてみました。女子学生はプネーに遊びに行くそうで、プネーまでヴィノードくんと同じ電車に乗るそうです。

電車が来たので一緒に荷物を中まで運んでお別れ。バイバーイ。

*1:彼はわたしが売店に行ってくると言うと、「(餞別は)何もいらないからね」と何度も念を押していました。