そりゃないだろ

試験は終了時刻にならなくても退出できます。答案に満足した人は終了時刻を待たずに出て行きます。少しでも点数を稼[かせ]ぐため、わたしは最後まで粘[ねば]ることにしました。

試験が終わってから、間もなく卒業式が始まりました。校長やここの施設のお偉[えら]いさんが続々[ぞくぞく]と集まってきました。式の参加人数は50人くらいでぜんぜん大[たい]したことありませんが、英語でスピーチをするとなるとやはり緊張します。心臓がドキドキしてきました。

一応なにをしゃべるか頭のなかでまとめました。要約すると「ここで学んだことはさっぱり理解できませんでした」というもの。いや、ちょっと端折[はしょ]りすぎました。もう少し詳[くわ]しく言うと「大学の講義や実技を通してたくさんの情報に接することができたけど、それはまだまだ自分の知識にはなっていないので、これから少しずつ消化して、経験を積みながら自分のものにしていきます」というもの。うまく話せるだろうか。

式が始まって、偉い人があいさつしたり、学生が何人か指名されてスピーチしたりしています。ところで、インドの人たちは話がやたら長いです。こういう式でも延々[えんえん]としゃべっています。みんなちゃんと聞いてるのかな?

次は自分の番かな?ってドキドキしながら待っていたので、誰が何をしゃべったかほとんど覚えていません。何人か話をし終わった後、スカラーシップ奨学金[しょうがくきん])の表彰式[ひょうしょうしき]がはじまりました。毎年度[まいねんど]男女それぞれ2名のインド学生に奨学金が授与[じゅよ]されます。選考においては、成績よりも普段の生活態度などが重視されるそうです。つまり、まじめにがんばった学生を表彰しようというわけです。いい制度ですね。奨学生に選ばれた女子学生2名は文句なしに真剣にヨーガに取り組んでいる人たちだったようで、他の女子学生がみんな拍手してました。しかし、問題は男子学生。「どう考えてもお前じゃないだろ!」という2名の学生が選ばれていました。「そりゃないだろ」と思いながら周りを見渡したら、やはり歓迎[かんげい]ムードは女子学生に比[くら]べて薄[うす]かったです。

表彰式が終わると、司会者が式の終わりを告[つ]げるマントラ(お経[きょう]みたいなの)を唱[とな]え出し、みんなで合唱。卒業式終了。

・・・・・・・・・わたしのスピーチは?*1

*1:たぶん時間の都合で省略されてしまったんだと思います。ラジニーシ先生が「ほんの一瞬だけ」わたしに申し訳なさそうな顔をしてました。